人気ブログランキング | 話題のタグを見る

店主のマニアック日記

creeknikki.exblog.jp
ブログトップ
2010年 12月 25日

Edwards Quadrate

 バンブーロッドというと断面が六角というのが普通だが、100年近くも前から様々な形状のロッドが試されていた。バンブーロッドについての古い文献には八角や十二角なんていうロッドも紹介されている。 しかし、様々な紆余曲折の末、現代のほとんどのバンブーロッドが6角の構造をとっている。

 歴史的なバンブーロッドメーカーであるレナード(H.L.Leonard)社創立当時の優秀な職人だったユースティス・エドワーズ(E.W.Edwards)は、独立後、自分の名のもとにロッドメイキングを開始する。 その後、ビル(Bill Edwards)とジーン(Gene Edwards)の二人の息子たちも家業を手伝うようになる。 父親のユースティスが他界すると、二人の息子たちはそれぞれのデザインでロッドメイキングを開始。 六角(六面)ロッドを製作するジーンに対し、ビルは四角(四面)ロッドの製作に没頭してゆく。

 そんなビルの作品がこちら。 Edwards Quadrate #50。 8フィートの3ピース。
Edwards Quadrate_b0193874_1764197.jpg

 私感では#5か#6のラインが適合すると思う。 結構張りのあるややスティッフなアクションは、利根川や北海道の中・大河川などで使うと真価を発揮する。正に「トラウトロッド」という感じだ。


Edwards Quadrate_b0193874_1765318.jpg

 バット部に記されたサイン。 崩れているようで味のある書体がカッコイイ。 ちなみにジーンの文字はもっと几帳面な印象を受ける。


Edwards Quadrate_b0193874_177968.jpg

 四角いブランクに合わせて、円形から四角形へ変形していくフェルール。非常に凝った作りだ。


Edwards Quadrate_b0193874_1772530.jpg

 ブランクばかりでなく、ベークライト製のチェックやコルクグリップの先端までが四角形。ビルの拘りだろうけど、こういうところに店主はシビレちゃうんだな~。 それとこのグリップ、意外と握りやすい。

 このロッドは数年前、NCAのMakoさんにレストアしていただきました。Makoさんは、エドワーズの工房で働いていた伝説の職人サム・カールソン(C.W.Carlson)と、彼の生前に四角ロッドについて議論を交わしています。 そして現在、Makoさん自身も四角バンブーロッドを製作しています(http://www.c-creek.com/nca.htms 参照)。

 四角ロッドは、よく六角ロッドとアクションについての比較や議論がされていますが、店主にとってはそんなことより、一目で四角と分るブランクだったり、ちょっと野暮ったいあのデザインのほうが重要です。とても個性的でカッコイイと思います。 だってアクションなんて、そのロッドをずっと使っていればいずれは慣れちゃうものですから(笑)。

by ccacc99 | 2010-12-25 18:30 | 古典的釣道具


<< 渓流のルアーフィッシング      年末の休日 >>