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店主のマニアック日記

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2023年 04月 15日

新体操のリボンとフライキャスティング

カーティスクリークはルアー&フライのお店なのですが、ルアーのお客さんから「フライって難しいんでしょ?」というような質問を度々受けます。 その「難しい」という意味をお客さんによ~く聞いてみると、「友達がそう言ってた」とか「前に一度やってみたけど上手くいかなかった」という答えが大半。そしてその「難しい」が意味するところのほとんどはキャスティングに関してだったりします。

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ではなぜフライキャスティングは「難しい」と言われるのでしょう?
まず、「投げる」という言葉は野球のボールを投げる時ような遠心力を利用した行為を思い起こさせます。ルアーキャスティングなど他の釣りの投げ方もおおむねこの遠心力を利用していますし、私たちの体にも遠心力を使った投げ方が染みついています。
一方、フライキャスティングは「投げる」というよりは「フライラインを操作する」という感覚に近いのです。 「難しい」と言う方々の多くは、今まで体にしみついた遠心力を使った投げ方、言い換えればルアーなどの投げ方をそのままフライキャスティングの時に実行してしまうので、「飛ばない」とか「ラインが絡まる」となってしまうのです。 

では、「フライラインを操作する」とはどういうことなのでしょう。
フライフィッシングで使う毛鉤は、基本的には0.何グラムくらいの重さしかありません。これを遠くに運ぶには毛鉤自体の重さでは物理的に無理があります。そこで、ルアーの糸より太いフライラインの出番です。このフライラインには重量があるため、竿先から数十センチから数メートル出した状態で振り回した場合ある程度「竿を撓らせる」ことが可能です。 釣り場でフライの釣人を見かけたことがある人は分かると思うのですが、キャスティングの時彼はフライラインを前に後ろに振り回してるように見えたと思います。あれはフライラインの重量を竿に乗せている行為で、それと同時にフライラインにある種の方向性を与えているのです。フライキャスティングの最中のフライラインの軌跡を良く観察してみると、空中で作られたループは解ける(伸びきる)頃に、今度は逆方向へ竿が振られます。すると先ほどと同じような形のループが逆方向に発生します。実はこのループが重要で、力学上良い形のループが出来ると、ほんの小さな軽い毛鉤を遠くまで運べるという仕組みです。ですから、フライキャスティングとは「空中のフライラインを操作して良い形のループを作る作業」と言えるかもしれません。

文章にするとちょっとややこしいですが、例えるなら、ルアーのキャスティングが野球の投球とすれば、フライキャスティングは新体操のリボンの操作に近いのかもしれません。

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フライキャスティングの原理を理解し、そのように身体が動くようになれば「こんなに楽しいスポーツだったのか!」と気付かれると思います。ルアーの皆さんも是非フライフィッシングに挑戦してみてください!!

カーティスクリークではフライキャスティングのワークショップも行っています。受講者一人一人の経験値や体格に合ったキャスティングをご提案させていただきます。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。



# by ccacc99 | 2023-04-15 18:59 | 西洋式毛鉤釣
2023年 03月 27日

釣りキチのアジト 

「戸部君、あれ、何やってるの?」
「釣り小屋作ってるんですよ」
大工作業のようなことを続けている戸部君のインスタの投稿を見た店主の問いかけに彼はそう答えた。

「え、一人で?」
「はい、ほぼほぼ・・・」
「マジかっ! 出来上がったら酒持って遊びに行くよ!」
「はい、待ってます!」

こんなやりとりがあった数か月後、店主は利根川の畔にある戸部君の釣り小屋を訪問した。

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戸部君はカーティスクリークの十年来のお客さん。
はじめはバス釣りにハマってたが、だんだんとトラウトフィッシングに傾倒。現在ではシーズン中に何度も九頭竜川へ通い続ける立派な変態(失礼)。彼の九頭竜川に対する熱い思いや中禅寺湖などでの大物との逸話はまた別の機会に譲るとして、今回はそんな彼の、ある意味では結晶でもあるアジトのお話。


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そもそもは、亡くなった叔父さんの家の整理に戸部君が行ったのが事の始まり。
彼の叔父さんの家は古くからの農家で、その敷地内にの農機具の収納などに使っていた建物があり、その建物の二階に上った瞬間、戸部君は天井の梁に目を奪われたとのこと。

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      ↑ 釣り小屋の天井。梁が時代を物語っている。カッコいい。


天井のカッコよさもさることながら、魅力的なのはその部屋の広さ。約30畳というからかなりのものだ。昔は養蚕農家もやっていて、この広い部屋でお蚕を飼っていたらしい。

「この小屋、オレが使っていい?」
一緒に整理に来ていたお母さんに承諾を得て、彼はこの小屋の改装をはじめた。
普通の会社員の彼は時間を見つけては少しずつ清掃や改装を進め、約1年くらいの時間を掛けてようやく完成に漕ぎつけたとのこと。

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      ↑ お気に入りのルアーは複数個ずつ壁に。釣具店みたい。


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      ↑ 読書家でもあるようだ。年齢に似合あず高田渡のCDがあったりする。


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      ↑ 泊りがけの釣行が多い彼のキャンプ道具たち。


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  ↑ 戸部君が九頭竜川詣で三年目でついにキャッチしたサクラマス。65cm。圧巻。


今回の訪問でいちばん印象に残ったのは戸部君の釣りに対する「熱さ」。たった一人でこの釣り小屋を完成させたのも、群馬県人でありながら九頭竜川に通い続けるのも、全ては彼独自の美学に則った「熱さ」からきているように思う。
SNSや動画サイトなどでは「大物」や「爆釣」の投稿が目白押しだが、そういうこととはまた違った、釣りの別の楽しみ方を知っている戸部君はとても幸福な釣り人に見えた。








# by ccacc99 | 2023-03-27 17:32 | マニアック
2023年 02月 27日

キャステイング健康法!?

「60歳、70歳になっても今のようなキャスティングができるだろうか?」
店主がキャスティングと向き合うそもそものキッカケはそんな思いからでした。

50代になったころ、若いころのようには身体が言うことをきかなくなったのを頻繁に感じるようになりました。「もしかしたらこの先、腕が上がらなくなって今のようなフライキャスティングが出来なくなったらどうしよう?」「歳を重ねて体力も下降したときに今のようなパフォーマンスのキャスティングが出来るだろうか?」 いち釣り人としては切実な問題です。
「だったら今のうちから対策を考えよう!」
ということで、「自分のキャスティング大改造プロジェクト」が始動したのが約5年前。

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最初は軽い気持ちで始めたキャスティングでしたがやっているうちにその面白を再確認し、それは「ほぼ日課」となっていきました。
フライでもベイトでもスピニングでも「とにかく省エネ」をコンセプトに、如何に身体に負担を掛けず、自分の動きやすい方法で今のキャスティング・パフォーマンスを維持するのか? あわよくば、パフォーマンスアップも可能なのか? が課題です。
こんなことしたらどうだろう、あんなことしたらどうかな? なんて思いついたことを検証するのが楽しくて、毎日がドキドキ・ワクワクで現在に至っています。
キャスティング練習という言葉がありますが、店主の日課の場合、「キャスティング研究」あるいは「キャスティング実験」という言葉の方がシックリくる感じです。

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そんな毎日を過ごす中で、ふと気付いたことがあります。それは「なんだか健康になった気がする❤」ということ。 思い返してみると、キャステイングの日課を始めて以来約5年間、風邪ひとつ引いてないのです。コロナワクチンを接種したときだけは発熱しましたが、それ以外は本当に咳き込むことも鼻水がでることも悪寒がすることもありません。それどころか、何十年にも渡って悩まされていたスギ花粉症の症状までどんどん軽くなり、現在ではほとんど気にならないレベルにまで到達。 ご飯も毎日超美味しいんです。 日課を始める前の店主は、必ず年に一度か二度くらいは風邪を引いて寝込んでたのに・・・。 


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これは日課のキャステイングのおかげに違いない! 科学的根拠は全くないけど・・・(笑)。

店主は、お店を開店する前の時間(朝)に週4くらいで毎回1~2時間くらい竿を振っているのですが、終わった後はとても爽やかな気分になり、肩こりも取れていいことずくめ。そのうえ、キャステイングも上達してその結果お魚も沢山釣れるようになるんですから、これこそ一石三鳥、いや、一石四鳥って感じですよね! もしかしたら公園の太極拳やヨガにも匹敵する健康法かも!!
キャステイング健康法、店主のような中年のオジサマアングラーだけでなく、女性や熟年の釣り人、いや誤解を恐れずにもっと言っちゃえば、釣りをしない一般の方々のエクササイズとしても十分に効果があるのでは・・・と本気でオススメしたい店主なのです。
この記事をご覧になった皆さんも、是非今日からレッツ・キャステイング!!

*社会的立場や変態度などに個人差がありますので、用法用量をお間違えの無いようお願いいたします(爆)。

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# by ccacc99 | 2023-02-27 21:41 | マニアック
2023年 02月 12日

3M カーボナイトブランク

昨年の11月ごろから新年にかけて行った店内改装。
同じ敷地内の広いスペースの部屋へお店を移し、従来のお店のスペースをロッドビルディングなどのワークショップも行える工房(ワークショップ | カーティスクリーク (c-creek.jp)参照)にしました。 その際に店内各所に散らばっていたロッドブランクたちを一か所へ集めてきたのですが、バンブー、グラス、カーボンと、我ながらその量にビックリ(笑)。 今後はこれらのブランクを使用してお客様のご要望に応じたロッド作りをしていこうかと思っています。

そんなブランク群の中に貴重なアイテムを発見! それが3M社のカーボナイトブランクです。

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いつかロッドにしようと思ってしまい込み、もうすっかり忘れかけていました(笑)。
出てきたのはミドルからヘビーライン用のフライロッドブランクが数本。3M社がまだ釣り具製造にかかわっていたゴールデンエイジ。1970年代後半から80年代前半くらいの製品と推察されます。

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↑ インスクリプションもかなりカッコいい!


↓ そして、このブランクのいちばんの特徴は、なんといってもこのインナー式メタルフェルール。
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金属製のオスフェルールがブランク内部のメスフェルールに接続される独自のシステム。画像のようにロッドを繋いだときにティップ部とバット部の段差がなく、とてもスッキリとした印象となります。ベンディングカーブも美しいです。 現在のスピゴットフェルールと金属フェルールの複合形のような、この時代独自の創意工夫が見られます。


↓ 店主は子供のころ、月刊フィッシング誌の「原宿ノリエ」さんのこの広告でこのブランクの存在を初めて知りましたが、当時の中学生に手が出るはずもなく、ずっと憧れの一品でした。切り抜きまでしてました(笑)。
ノリエさんの広告ではレナード社のブランクとして扱われています。多分1981年頃の広告だったと思います。

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でも店主は、レナード社製のカーボンロッドでこの3Mカーボナイトブランクが採用されているものは未だに見たことがありません(ただの勉強不足なのかもしれませんが・・・)。
一方、往年の3M社製のグラファイトロッドには当然このブランクが採用されていて、当店でもオールドタックルとして取り扱ったことが何度かあります。 もしかしたらこのブランク、当時は伯東さん経由で輸入されてたものなのかもしれませんね。


先にも触れましたが、当店在庫の3M社のカーボナイトブランクはミドル~ヘビーライン用のフライロッドブランクが数本のみです。ご希望の方には当店でロッドに仕立てさせていただきますので、ご興味のある方はメール(curtiscreek99@gmail.com)またはお電話(027-289-2307)でお問い合わせください。 尚、ブランク単体での販売はいたしません。また、ごく少数の在庫ですので売り切れの際はご容赦願います。何卒ご了承くださいませ。


追記 カーティスクリークの販売サイトに追加しました。
http://www.c-creek.jp/oldtackle.html



# by ccacc99 | 2023-02-12 10:59 | マニアック
2023年 02月 05日

「手作業」がテーマのイベント

イベントのお知らせ

恒例になってきた感のあるカーティスクリークのマンスリーイベント。次回は2月19日(日)に開催致します。

次回のテーマは「手作業」。ロッドやルアー、毛鉤、ランディングネットなどのハンドメイドタックルはもちろん、リールのチューニングやグッズの製作、釣り関係のイラストやフィギュア、釣り部屋や釣り車の改造など、「手作業」をされてる方は是非お集まりください。楽しさをみんなでシェアしましょう‼️ もちろん見学や話を聞くだけでもオーケーです。


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場所はカーティスクリーク店内、時間は正午から午後4時まで。
参加費は無料です。

オフシーズン最後のオフラインミーティングとなります。皆さんお誘い合わせのうえ遊びに来て下さい‼️



# by ccacc99 | 2023-02-05 14:43 | イベント